
予防歯科
予防歯科
歯医者は、歯が痛くなったり、むし歯の治療をしたりするときだけに行くもの、と思っていませんか?もちろん、お口のトラブルに気づいたらできるだけ早く歯科を受診することが大切です。しかし、生涯を通してお口の健康を守るためには、病気にならないように健康維持を目的としたメインテナンス※1と未病という概念(健康な状態と疾病の中間点)が必要です。これを扱うのが予防歯科です。
歯を失う原因のほとんどがむし歯や歯周病です。つまり、これらを予防すれば歯を失うリスクを大幅に軽減できます。基本的に虫歯や歯周病は口腔内細菌が関与しています。しかし口腔内は数百種類以上の細菌が存在し、これをゼロにすることは現実不可能です、というよりゼロにする必要もありません。というのも過去に虫歯菌とか歯周病菌が悪者という考え方から、現在では口腔内細菌叢のバランスが大事という概念に代わってきています。さらにはこの口腔内細菌叢によって生じる歯周病の慢性炎症が糖尿病や心疾患などの全身疾患に影響を及ぼしているという報告やある口腔内細菌の毒素がアルツハイマー型認知症の脳組織の中に発見されたとう報告もされるようになってきました。
予防歯科を通して、生涯ご自分の歯で食事ができるようにすること、ひいては全身の健康維持を目指すことが求められています。
※1メインテナンス:むし歯や歯周病などを発症させず、虚空内の健康な状態を維持していくための定期的な処置
1.細菌検査や唾液検査から虫歯や歯周病のリスクを判定しカスタマイズな口腔ケアのアドバイスを行います(そもそもメインテナンスの間隔に一律な基準はありません。歯ブラシをしなくても虫歯ができにくい方がいるのも個人差があるからです)
2.口腔内の慢性炎症の程度を数値化して、糖尿病、関節リウマチ等の全身疾患の改善の参考にします
3.予防歯科の発祥の地 北欧で行われているEMSという機器を導入してEMS社の試験をパスした認定歯科衛生士によるGBTプログラムに準じたクリーニング(後述)を行います
クリーニングとは目的に応じて内容は全く異なります
そしてクリーニングには患者様 ご自身で行うセルフケアと国家資格を持つ歯科衛生士が行うプロフェッショナルケアに大別されます
「予防」の基本は毎日の歯みがきですが、歯と歯のすき間や歯と歯肉の隙間、歯の表面にある溝などの汚れは、セルフケアで完全に除去することはできません。そのため、毎日歯みがきをしていてもむし歯になってしまうことがあるのはそのためです 徹底的にお口の中の汚れを除去できるのが、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアです。
プロフェショナルケアでは歯垢や歯石の除去をはじめ、口腔内診査、歯みがき指導を含むセルフケアのアドバイスなどを行います。
PMTCとは、専用の機器を使用して歯を磨き上げる(Professional Mechanical Tooth Cleaning)という意味の略称です。もともと予防処置が保険適応にならないため、前述のスケーリングと明確に区別するためにいわゆる自費(保険外)で行うケアとして認識されています。
歯石は歯垢(プラーク)が石灰化してできた硬い塊で、歯みがきなどの通常のセルフケアでは除去できません。歯石そのものは細菌の死骸は含みますが、健康上必ずしも除去が必要なものではありません。初期の歯周病(歯肉炎)では細菌の温床となるために(超音波)スケーラーという専用の器具を使用して、歯の表面や歯周ポケット(歯と歯肉の隙間)内にある歯垢や歯石を徹底的に除去します。このスケーリングは、歯の表面に多少なりともダメージを与えるため予防的処置として行うには注意が必要です
当院ではスイスのEMS社の機器を用いたGBTプログラムを採用しています。GBTとはGuided Biofilm therapyの略称で歯面のバイオフイルムを除去することが目的です
バイオフィルムは簡単に言えば付着力の強い細菌叢ですが、直接観察することが出来ないため染色液を用いて可視化することによってその除去を確実なものにします。パウダー状の粒子(原材料はトウモロコシ)をエアーと水に混ぜて歯面に吹き付けることによってバイオフィルムを除去します。スケーリングと異なり、歯面にダメージを与えることなく効率的に行えるため、健康維持のための予防的クリーニングとしては最適なものになります 当院ではEMS認定歯科衛生士(2年毎の更新制度あり)がGBTプログラムに準じて施術を行います
フッ素塗布は小児歯科専用と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、成人のむし歯予防にも効果的です。
フッ素(フッ化物)にはその科学的特性から、「初期のむし歯を治す」「歯のエナメル質を強くする」「むし歯菌の活動を抑える」という効果が期待できます。比較的低濃度(MAXで1500ppm)のフッ素が含まれている歯磨剤に歯科医院での高濃度のフッ素塗布を組み合わせてその相乗効果を期待できます
一人ひとり歯並びも違いますし、歯みがきの仕方にも癖があります。ホームケアの指導では、各個人に合わせた歯みがきの方法や、歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスの選び方などをお伝えし、ご自宅でのホームケアをより効果的に行えるようにサポートいたします。
むし歯や歯周病の原因は歯垢です。この歯垢は丁寧なブラッシングによって、大部分を取り除くことができます。ブラッシングは、みがき残しを防ぐため、1本1本の歯を優しく丁寧にみがくことが基本です。歯の表面をみがくときは、歯ブラシを直角に当てて小刻みに動かします(スクラッピング法)。歯と歯ぐきの溝は、歯ブラシを45度の角度に当てて小刻みに動かし、汚れを掻きだすようにします(バス法)。いずれも力を入れ過ぎないように注意しましょう。
歯と歯の間の汚れは、デンタルフロスを使用すると落ちやすくなります。糸状のデンタルフロスは、歯と歯のすき間に通して汚れを落とします。ホルダーがついたフロスもありますので、使いやすいものを選択してください。
歯間ブラシは歯と歯の間の汚れを落とします。様々な太さの歯間ブラシがありますので、ご自分の歯に合ったものを選びましょう。前歯と奥歯で歯と歯のすき間が異なる場合は、それぞれ太さに合わせて使い分けます。
舌の表面には舌苔という絨毯のような凸凹があります。個々に細菌が蓄積すると口臭の原因の一つといわれています。舌磨き専用の清掃具もあります。過度な清掃は逆効果な場合もあるので衛生士の指導の下で行うとよいでしょう
口腔顔面痛、耳慣れない言葉だと思いますが、ストレスの多い現代社会において日常的に発症する慢性疼痛です その代表的なものが筋緊張性頭痛といって頭の側面から下顎、首筋、肩に至るまでの鈍痛です。偏頭痛と区別しなければなりませんが、時には歯の痛み
(特に臼歯部)を伴うことも少なくありません。知覚過敏症も引き起こすことがあります
この診断には専門的な知識と経験が必要ですが 簡単な日々のマッサージで改善することが報告されています。
むし歯菌は人から人に感染します。とくに問題となるのがミュータンス菌で、一旦口の中に大量に感染するとなかなか排除できないという大きな問題があります。実は、産まれたばかりの赤ちゃんにはむし歯菌(ミュータンス菌)がいません。赤ちゃんにむし歯菌がうつるのは、たいていご家族からです。密接に関わるお母さんが一番手で、口移しで食べさせたり、親の箸やスプーンで食べさせたりということでうつってしまいます。
むし歯菌に感染しやすい時期は、生後10カ月くらいで乳歯列が完成して、硬いものが食べられるようになる約2歳半といわれています。この間は赤ちゃんに使う箸やスプーンは専用のものにしたり、離乳食の際に咬み与えをしたりしないようにしましょう。
日頃の歯ブラシ習慣も大切になってきます。小さいころはお母さんが一緒に歯みがきを行うとともに、きちんと磨けているかの点検と仕上げをしてあげましょう。
小児歯科で定期検診やブラッシング指導を受けることもおすすめです。
フッ素塗布はむし歯菌から作られる酸の生成を抑制する効果が期待でき、とくに乳歯や、生えたての永久歯にはむし歯予防効果が大きいとされています。3~4カ月に1回の歯面塗布をおすすめします。シーラントはむし歯になるリスクが高い歯の溝を、歯科用プラスチックで塞ぎ、汚れがたまらないように処置する治療です。乳歯は形が複雑なため、シーラント処置は効果的です。とくに奥歯の深い溝は汚れがたまりやすく、むし歯になりやすいところです。奥歯が生え出したらできるだけ早いうちに溝をコーティングするシーラント処理をおすすめします。
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